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「生活習慣病と脈波伝播速度(pwv)」

最近、脈波伝播速度(PWV;Pulse Wave Velocity)が注目を集めている。「PWV検査」は動脈硬化の病理的基本の特徴である“血管の弾力性の低下”に着目した診断法であるため、高血圧、高脂血痕、糖尿病、肥満などの生活習慣病対策に大いに期待が持たれるようになったからだ。測定装置がコンピュータの活用で軽量化し、操作も簡単になったため、生活習慣病予防、生活指導の目的で、健診やドックにもこの「PWV検査」が導入されるようになった。
PWV(脈波伝播速度)とは、「心臓から押し出された血液により生じた拍動(脈波)が、血管を通じて手や足に届くまでの速度。」
     PMW
      (E;ヤング率、a;壁厚、r;半径)

PWVは、粥状硬化の程度、冠動脈リスクの指標となり、大動脈のPWVは心臓血管系疾患の危険性に対しても優れた予知指標になると、LancetやHypertensionで発表されている。
鹿児島大学医学部臨床検査医学教授、丸山征郎先生によると、動脈硬化の病理的基本は、(1)血管壁の肥厚と内腔の狭窄、(2)血管の弾力性の低下を2大要素としているが、適切な治療により、まず最初に(2)の血管の弾力性の低下が改善されてくる。これはPWVの改善として把握される。どのような形で現れてくるかというと、血管の弾力性が低下して硬くなっている状態の場合、脈波のスピードは速くなりPWVの数値が高くなっている。これが治療などにより血管の弾力性が改善されると、脈波のスピードは遅くなりPWVの数値が低くなる。つまりPWVの数値の低下で動脈硬化の退縮を観察することが可能であるということである。(2002年メディカル朝日2月号) 実際に、コーリン社製フォルムを使ってPWVを測定してみると非常に再現性がよく、しかも短時間(10分以内)で測定ができる。看護師に少し習熟させ、100例もこなせば、かなり正確なデータが得られるようになる。その結果はそのまま、患者さんへの指導となり、患者さん自身の生活習慣改善のための動機付けともなる。動脈硬化の評価には、他に頚動脈エコーがあるが、頚動脈エコーでは個々の患者さんでは1年経っても変化がわかり難いため、生活習慣改善の場合などにしても、努力が改善につながらないと患者さんは継続する意欲を失ってしまう。
その点、PWV検査は大変簡便でフレキシブルなところが、今後、患者さんへのコンプライアンスの良さとして評価されることになるであろう。また頚動脈より大動脈のほうが病理形態的変化が早く現れるとされており、頚動脈のワンポイントでの評価と、PWVによる大血管システムの評価といった概念を考えても、PWVのほうが全体を表現しているといえる。
PWVは、動脈のstiffnessを反映しており、動脈硬化の進展に関しておそらく一番最初に現れて、わりあい再現性のよい、精度の高いマーカーだろうと考えられている。
動脈硬化、血栓・塞栓症は、血管系の加齢現象の代表的表現形である。この“血管の加齢現象”を加速させるのが、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満などのいわゆる生活習慣病である。この生活習慣病そのものの予防、治療と、血管イベントに至る前での早期珍断が重要であることは論を待たない。今後「PWV検査」はさらに普及することになるであろう。